美容医療の症例写真を撮る前に|看護師の撮影・保存・同意チェック

執筆:JCN編集部
医学監修:星 朋香 先生(横浜アートメイククリニック 院長/医師/日本美容医療看護学会(JCN)監修顧問)
監修日:2026年9月23日
美容医療の症例写真は、施術前後の状態を振り返り、説明や経過確認に役立てる資料です。一方で、照明、姿勢、距離、表情が違えば、実際の変化以上に違って見えることがあります。患者さんが識別できる情報を含むため、撮影後の保存・共有にも注意が必要です。
この記事では、美容看護師が院内で症例写真を撮る前後に確認したい項目を、目的、撮影条件、説明と同意、保存と共有の4つに分けます。全国共通の撮影方向や保存期間を定めるものではありません。勤務先の承認済み手順、担当医・管理責任者の指示を優先してください。
症例写真は「院内記録」と「外部公開」を分ける
最初に、その写真を何のために撮るかを明確にします。診療記録として保存する写真、院内教育で使う写真、Webサイト・SNS・広告など外部へ掲載する写真では、利用目的、閲覧者、説明・同意、確認経路が異なります。
院内記録として撮影したからといって、そのまま広告やSNSへ利用できるとは限りません。外部公開を検討する場合は、用途、媒体、掲載期間、取り下げの取扱い、加工の範囲などを院内の責任者へ確認します。説明と同意の考え方は美容クリニックの説明と同意も参照してください。
比較を誤らせないために撮影条件をそろえる
症例写真の役割は、きれいな写真を作ることではなく、必要な範囲をできるだけ同じ条件で記録することです。施術前後で条件が変わった場合は、違いを隠さず記録します。
| 確認項目 | そろえる内容 | 記録したい違い |
|---|---|---|
| 背景 | 色、柄、周囲の物、立ち位置 | 背景色、影、映り込み |
| 照明 | 光源、向き、強さ、自然光の有無 | 時間帯、照明の変更 |
| 姿勢・表情 | 座位・立位、顔や身体の向き、力の入れ方 | 痛みや可動域など同じ姿勢が難しい理由 |
| 距離・画角 | カメラ位置、高さ、対象範囲、倍率 | 端末・レンズ・撮影位置の変更 |
| 衣服・髪・装飾 | 観察範囲を妨げない状態 | 圧迫跡、化粧、衣服の位置など |
写真の色や明るさを整える加工は、前後で見え方を変える可能性があります。許容する加工、原本の保管、比較画像の作成方法は院内で決め、広告へ使用する場合は厚生労働省の医療広告規制に関する情報を現行版で確認します。
撮影前:患者さんへの説明と環境を確認する
- 利用目的を確認する:診療記録、院内教育、外部公開を分ける
- 説明・同意の状況を確認する:院内の同意記録と今回の用途が一致しているかを見る
- 撮影範囲を説明する:衣服や髪を動かす必要、写る範囲、撮影枚数を共有する
- プライバシーを確保する:扉、カーテン、同席者、端末画面、周囲の会話を確認する
- 比較条件を準備する:前回の撮影条件、カメラ位置、背景、照明を確認する
撮影部位によっては、衣服をずらすことや身体の向きを変えることに負担が生じます。急がせず、患者さんが中止や休憩を伝えられるようにします。医学的な観察範囲や再撮影の要否は、担当医・院内手順へ確認してください。
撮影後:比較条件と映り込みを点検する
撮影後は画像だけでなく、背景と付随情報も確認します。カルテ画面、予約表、名札、鏡への反射、他の患者さん、スタッフの会話などが含まれていないかを点検します。顔を隠しただけで個人を識別できなくなるとは限りません。
- 必要な範囲が入り、ピント・露出が極端に異ならないか
- 前回と違う条件がある場合、その理由を記録したか
- 画像の隅、鏡、モニター、書類に識別情報がないか
- 端末内に不要な複製・自動バックアップが残っていないか
- 保存先と患者情報の紐付けが院内手順に沿っているか
保存・共有:個人端末と個人アカウントへ残さない
写真は患者情報として、勤務先が指定する保存先、閲覧権限、共有手順に従います。個人のスマートフォン、個人クラウド、個人SNS、私的なチャットへ保存・転送しません。院内端末であっても、端末の写真アプリや自動同期先に複製が残る場合があります。
個人情報保護委員会の医療・介護関係ガイダンスを確認し、具体的な保存期間、アクセス権、外部委託、第三者提供は勤務先の管理責任者へ確認してください。JCNが全国一律の保存年限を示すものではありません。
JCN症例写真チェック:4つの確認を一枚にする

チェック欄を埋めること自体が目的ではありません。「外部公開の同意範囲が分からない」「前回の照明条件が記録されていない」など、不明点を見つけたら、そのまま進めず確認先と確認日を残します。
同じ条件で撮れなかったときの対応
患者さんの体調や痛み、撮影場所、機器変更などにより、同じ条件で撮れない場合があります。無理に同じ姿勢を求めず、異なる条件と理由を記録します。前後写真を並べる場合は、条件差が結果の見え方へ影響し得ることを説明できるようにします。
写真だけで施術効果、診断、合併症の有無を確定しません。気になる変化がある場合は、写真の見栄えを整えるより、患者さんの状態を確認し、院内手順に従って医師へ報告します。医療脱毛の観察と報告は医療脱毛における看護師の業務も参考にしてください。
よくある質問
院内のスマートフォンで撮影してもよいですか
端末の所有者だけで判断できません。撮影端末、保存先、自動同期、削除、アクセス権が院内手順で承認されているか確認します。私物端末は使用しません。
顔を隠せば匿名の写真になりますか
必ずしも匿名とは言えません。身体的特徴、施術部位、背景、撮影日時などの組合せで個人が分かる可能性があります。管理責任者へ確認してください。
診療記録の撮影同意があれば広告へ掲載できますか
同じ同意で足りると決めつけません。外部公開の目的、媒体、範囲、広告上の表示を別に確認し、院内責任者の承認を得ます。
全国共通の撮影角度はありますか
本記事では全国共通の角度を定めません。対象部位、目的、担当医の観察項目、院内手順に合わせて決め、条件を再現できるよう記録します。
まとめ:撮影技術だけでなく用途と保存まで確認する
美容医療の症例写真は、目的、撮影条件、説明と同意、保存と共有を分けて確認します。同じ条件で撮れない場合は理由を記録し、写真だけで医学的判断を完結させません。
説明・同意の基本は美容クリニックの説明と同意へ、継続して安全や患者対応を学びたい方は日本美容医療看護学会の活動案内へ進んでください。
この記事の監修者
星 朋香 先生
横浜アートメイククリニック 院長/医師
日本美容医療看護学会(JCN)監修顧問
美容皮膚科、レーザー除去、アートメイク、麻酔・疼痛に関わる診療経験を持つ医師です。本記事では、症例写真の撮影条件と条件差、患者さんの体調・痛みへの配慮、写真だけで医学的判断を完結させない範囲、撮影同意と外部公開同意、保存・共有時の確認について監修いただきました。

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